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靴下が90度だとなぜ気持ちいいの?無印良品に聞いてみた

2017年05月02日作成

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無印良品には使っていると「気持ちいい」と思えるアイテムがたくさんあります。きっと無印良品が多くの人に愛される理由もそんなところにあるのではないでしょうか。でも「気持ちいい」を生み出すのって、けっして簡単なことではないはず。

そこで、nanapi編集部のなかでも愛用者が多い「足なり直角靴下」の「気持ちいい」の秘密について迫ってみることに。実際に、良品計画で商品企画を担当している石川和子さんにお話をうかがってきました。

ありそうでなかった靴下

「足なり直角靴下」は、その名の通りかかとの部分が直角、つまり90度になっている靴下です。石川さんによると、この角度こそが「気持ちいい」を叶える秘密なんだとか。

「靴下の『角度』は、はき心地に大きく影響しています。靴下がズレたりもたついたりするのは、足の角度と靴下の角度がぴったり合っていないからなんです」(石川さん)

市販されている一般的な靴下は、ほとんどの場合120度の角度が付いた「くの字型」です。でも、たしかに人間が地面の上に立ったとき、足の角度は90度です。

靴下のかたちと足のかたちが、なぜ違うのか。よく考えてみると、不思議な話。

そこに目をつけて「足なり直角靴下」という、ありそうでなかった90度の靴下が生まれました。

90度であることのメリット

靴下のかかとが90度になると、足の角度に自然とフィットするんです。実際にはいてみると、かかとが「スポン!」とハマる感覚があります。

足にしっかりハマるから、はいたときにモタつかないし、長時間歩いたときのズリ落ちも気になりません。ズリ落ちにくいから、はき口の締め付けもキツくしなくて大丈夫。

かかとの角度が変わっただけで、

  • もたつかない
  • ズリ落ちにくい

という、「気持ちいい」靴下が実現するんです。

昔の靴下はかかとが90度だった

足の自然な角度は90度。靴下が直角だと「気持ちいい」。それではなぜ、120度のくの字型の靴下が一般的なのでしょうか? それは工業化の時代、効率的に大量生産するために考えられた角度だったとか。

「直角の靴下は、足をすっぽりと包み込めるように、かかとの部分を大きめに編んでいます。すると、でき上がるまでに時間がかかってしまいますよね。手編みなら、はき心地を優先して時間をかけてもいいですが、工場で大量に生産するには効率が悪く、より早い時間で生産できるようにするために120度の靴下が考案され、いつしか主流になっていったようです」(石川さん)

これは、良品計画の開発チームが靴下の歴史を探ろうと靴下博物館へ訪れてわかったこと。実際に、工業化以前の靴下はみんな直角の形をしていたそうです。

「工業化する以前の時代に手編みされていた靴下は、直角の形をしていました。とくに印象に残ったのは、イギリスのエリザベス1世女王に贈られたという絹製の手編みの靴下です」(石川さん)

(写真提供: 靴下博物館

エリザベス1世女王が初めて着用した手編みの長靴下(1560)

商品化する上での大きな壁

無印良品が直角靴下を開発する過程ではじめに大きな壁となったのが、靴下を編む機械にさまざまな改良を加えなければならなかったこと。

「直角靴下を作るにはあえて『非効率』な編み方をしなければなりません。一般的な編み機では対応することができず、商品化にあたっては機械自体に改良を加える必要がありました」(石川さん)

ほかにも「足なり直角靴下」の開発は、苦労の連続だったと石川さんは言います。

「かかとへのフィット感を最大限引き出すために、少しずつ微調整を加えていくことが、とても大変だったんです。何度も試作を繰り返してはその度に実際にはき比べて検証をかさね、はき心地のよさを追求しました」(石川さん)

チェコのおばあちゃんがヒントをくれた

実は、無印良品が直角靴下のアイデアを得たのは、「Found MUJI」の活動の中での出会いがきっかけでした。

「『Found MUJI』とは、世界中をめぐって『よいもの』を探し出そうという取り組みのこと。さまざまな国で長年愛され続けてきた日用品を、生活や文化の違いに合わせて改良し、無印良品の商品として仕立て直すんです」(石川さん)

そして探し出された日用品のなかにあったのが、チェコに住むルジェナおばあちゃんが編んだ靴下。ルジェナおばあちゃんの靴下のかかとは、90度に編まれていました。

「チェコは雪国なので、出かけるときはブーツの下に分厚い靴下をはいてしっかり防寒するんです。ルジェナおばあちゃんは、自分の家族が少しでも心地よく過ごせるように、どうしたら靴下がブーツの中でずれ落ちてこないか考え抜いたといいます。そしてたどり着いた結果が直角に編むことでした」(石川さん)

ルジェナおばあちゃんの視点を無印良品の商品に活かそうとしたところ、それが工業改善の昔ながらの靴下の編み方とつながって、「足なり直角靴下」が生まれたんです。

無印良品が愛される理由

こうして誕生した「気持ちいい」靴下。実際にはいてみると、そのはき心地のよさの虜になるはず。実際、2006年の発売開始から売上は右肩上がり。2010年からは無印良品のすべての靴下が90度に統一され、2016年には年間1200万足を売り上げたんだとか。

「お客さまからも『包み込まれる感じがする』『本当にズリ落ちない!』『足がむくんでも締め付けが気にならない』といったコメントをいただいています。愛され続けているのが何よりうれしいことです。はき心地のよさを追求して、たくさんの工夫をしてきたかいがありました」(石川さん)

「足なり直角靴下」は、コストや生産効率を気にするのではなく「とにかくいいものを作りたい」という開発者の思いから生まれました。これは、無印良品のモノづくりに対する価値観に共通していることだと言います。

「無印良品では、お客さまの『かゆいところに手が届く』ことを大切にして、商品の開発を行っています。シンプルだけど、使い勝手がいいもの。それが、無印良品が提供している商品の1番の特徴です」(石川さん)

使う人の「気持ちよさ」を追求して、本当に「よいもの」を作っていくこと。「足なり直角靴下」に込められた思いから、モノづくりへの向き合い方が分かり、無印良品の商品が多くの人に愛される理由が垣間見えた気がしました。

今回お話をうかがったのはこの方!

株式会社良品計画 石川和子さん
衣服・雑貨部雑貨担当、MD開発を務める。「デザイナーと一緒に相談しながらどのような靴下がいいか、改良を重ねているんですよ」

Twitterで紹介!

(取材・文:近藤世菜)
(イラスト:ygagarin)
(image by nanapi編集部)

この記事で使われている画像一覧

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本記事は、2017年05月02日時点の情報です。記事内容の実施は、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。

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