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金沢「ひよこ」。最高のステーキは町外れのプレハブ小屋で味わえる

金沢と言えば海鮮丼。金箔を纏ったソフトクリームも最近話題です。今の季節なら雪化粧の兼六園も必見ですし、見処食べ処が盛り沢山。そんなイベント満載の金沢で外せないもう一つの大事な店が「ひよこ」。ここでしか食べられない唯一無二のステーキを味わいにいざ出発!
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  • 肉に迷った人は!

    新幹線に飛び乗って食べに行く価値があるお料理。様々な海の幸に恵まれた金沢なのに、ここで食べてほしいのはあえてのステーキ。肉に迷った食通の最終到達地点は石川県にありました

  • 予約は忘れずに!

    案外町外れなのでタクシーかバスでの来訪が無難。席数が限られた小さなお店だから伺う前には予約を超推奨します。お店の見た目は本当にプレハブ小屋。でも見た目で判断しないでね!

  • 唯一無二の味わい

    焼き加減の注文なんて無粋。僅か8席の特等席に腰掛ければ、あとは糊の利いたコックコートを纏ったご主人に身を委ねるだけ。「焼きますね」 その言葉から最高の肉体験は始まります

旅、出掛けてます?日頃のストレスからの解放、新しい世界に触れる知的好奇心の充足、そしていつもとはちょと違った贅沢で美味しいご飯。旅は退屈だった日常に最高の刺激を与えてくれます。

金沢。石川県の県庁所在地。北陸の食と言えば一般的なイメージでは蟹を始めとした海鮮です。金沢市民の台所、近江町市場には丸々と太った加能ガニ、透き通るような甘エビ、旬のガスエビ、そして言わずと知れたノドグロ。胃袋が4つあればと嘆くばかりです。

そんな素晴らしい海の幸を湛える日本海に面した国…なのですが、今回は肉。金沢の片隅でひっそりと53年間、ただひたすらステーキを焼き続けてきた伝説のお店「ひよこ」へ向かって、いざ新幹線に飛び乗りましょう!

薫り高きプレハブ小屋

日本海の荒波と、兼六園の静かな時間と、金箔の輝きと、ひゃくまんさんの髭。見逃せないものだらけの金沢にあって、類比なき孤高のビーフステーキ専門店、ひよこのステーキ。

繁華街からはやや遠い金沢の外れ、走る車も疎らな道路沿いでスマートフォンの地図で場所を確認すると見えてくる薄萌黄色のプレハブ住宅。掲げられた看板に堂々やる屋号。そう、そこが全国の肉番長の総本山、ステーキマニアの聖地「ひよこ」で間違いありません。

メニューはあるけどメニューは無い

綿実油で4〜5日間マリネされたヒレ肉の神々しいばかり。ここ数年日本の肉シーンを賑わせたキーワード「熟成」はドライエイジング、ウエットエイジングや枯らし等が主な手法でしたが、ひよこでは53年間、マリネという手法で熟成を続けてきました。ここ数年でブームの尻馬に乗って怪しい熟成肉を名乗っている偽ブーム店は一昨日来やがれって感じです。

ひよこのメニューは「ヒレステーキ」1本。定食じゃなくてヒレステーキ、です。ご飯もパンもお味噌汁もありません。口直しのサラダと、加賀野菜の焼きものとヒレステーキ、だけなのです。だからメニュー表はありません。ドリンクメニューもありません。それも孤高故なのです。

お店に入ったら予約してる旨を告げて、マスターの指定する席に座りましょう。カウンターだけ8席の小さなお店です。席に座ると水とふかふか熱々のおしぼりが出されて、程なくマスターから言われるでしょう。
「焼いて良いですか?」
この言葉から始まります。50年以上の歴史を積み重ねる最高のステーキの物語の開幕です。

肉が舌で踊り喉を濡らす

超高温のオーブンで一気に焼くNYスタイルや、炉窯で表面をクリスピーに仕上げる超高級ステーキ店の作法。そういった焼き方とはおおよそ縁遠いトラディショナルな鉄板で丁寧に焼き上げられ、程なくして完成するヒレステーキ。一人前およそ300g弱。産地に拘るのではなく肉質そのものに拘って選び抜かれた牛肉の完成形がここにあります。

断面は美しい血と肉の色。丁寧な掃除で筋や脂身は取り払われ、肉だけにその美味しさは集中しています。ヒレだけが持つ、濃い肉の味。そしてじっくりとマリネされた効果で、安っぽい表現なら飲める肉に、しいていえばつるりと滑り込み腔内でそのまま踊り、そしてほどけ融けていくような食感。食べる事にまったくストレスを感じない、嚙むことに苦痛を感じない、それがひよこのステーキでした。

カウンターに置かれたホースラディッシュを添えると、ステーキに掛けられた醤油ベースのグレイビーソースをまろやかに中和して、ややもすれば爽やかさが漂う味に一気に変化します。300gを多いと感じる人は、食中の味変アイテムとして重宝することでしょう。

自分を変える旅へ

人口47万人。金沢の街は新幹線の駅から観光地・名所などへも頑張れば徒歩で回れるレベルのコンパクトな街です。食も文化も人も景色も、そこは都会とは違う魅力にあふれています。

「ちょっと疲れたな」

そんな最近のあなたを、金沢はきっと優しく出迎えてくれるでしょう。まずはひよこでステーキを食べて、名物の鴨の治部煮でも食べて、21世紀美術館で現代アートに触れて、兼六園で歴史を知って、近江町市場でとんでもない海鮮丼に目を丸くして。

あらゆる出会いは明日の自分への素晴らしい刺激です。

旅と美味しいもの。一人でも、勿論二人でも。

金沢名物・鴨の治部煮(料亭・つば甚のコースの一品)

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(image by 筆者)

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