生活の知恵があつまる情報サイト

nanapi

Icon life生活・ライフスタイル

  1.  
  2.  
  3. 【どうなる新国立競技場】これまでの概要と安藤忠雄氏の動向まとめ

【どうなる新国立競技場】これまでの概要と安藤忠雄氏の動向まとめ

2016年11月18日更新

 views

お気に入り

2020年東京オリンピックに向けて建設が予定されている新国立競技場。国際コンペの開催、決定されたデザインの先駆的な姿などで大きな話題を呼んできましたが、ここにきて総工費が2,520億円にものぼるという問題が浮上し、その見直しが叫ばれています。

そんななか、国際コンペの審査員長を務めた建築家・安藤忠雄氏が、やっと公の場で発言をする場を設けました。これまではテレビ番組にて間接的に意見を述べたのみで、有識者会議にも姿を現さなかった安藤氏。その発言内容に、大きな注目が集まっています。

ということでここでは、新国立競技場をめぐる問題を簡単にまとめたうえで、安藤氏のこれまでの発言をご紹介します。

そもそも新国立競技場、何が問題?

はじまりはどこ?

新国立競技場は、2020年の夏季オリンピック誘致のため、その設立が2011年に計画されました。もともとの国立競技場は1958年に開場したもので、すでに老朽化が進んでいたことが、立て直しの理由です。2019年のラグビーワールドカップにも併せて使用するため、大規模な国際大会のメイン会場となり得るスタジアムの建設が計画されました。

そこで開催されたのが、新国立競技場のデザインをめぐっての国際コンペ。このコンペの審査委員長が、建築家の安藤忠雄氏です。

安藤忠雄氏とは

日本を代表する建築家です。1941年9月13日生まれ、東京大学の名誉教授も務めています。

主な代表作に、大阪府茨木市の『光の教会』、香川県直島の『ベネッセハウス ミュージアム』、表参道ヒルズ、副都心線・東横線渋谷駅などが挙げられます。

国際コンペはどうだったの?

国際コンペが行われたのは2012年のことでした。

  • 応募〆切:9月25日
  • 一次審査:10月16日
  • 二次審査:11月7日
  • 最優秀賞の公表:11月15日

そのほか、多くの人数を収容する大規模スタジアムを狭い土地に建設するとあって、技術的に可能なデザインかどうかを見極める「技術調査」も行われ、審査はデザインと技術調査の結果に基づいて行われたようです。

最終的に選ばれたのは、イギリスのザハ・ハディド・アーキテクツの作品。そのインパクトのある外観とともに、「このデザインを実現する日本の技術力をアピールできる機会になる」ことが評価され、最優秀賞に選ばれました。

コンペ後はどうなったの?

最優秀作品が決定したあと、2014年5月28日に開かれた有識者会議で、基本設計案が発表されました。しかし、この基本設計案の公開までの過程で、情報開示が不十分などの理由で、建築業界や国民から批判を受けます。

そもそも基本設計案の公開は3月を予定されていたため、2か月も遅れたことも批判の対象となりました。

今、何が問題になっているの?

問題視されているのは、高額な総工費です。

最優秀作品が決定した段階での試算では、総工費は1300億円の予定でした。それが、2013年10月に行われた業者の試算では最大3000億円に。その後、何度かの有識者会議などで試算が繰り返され、2015年7月7日には2520億円という額になりました。

2015年7月の段階で、もともと設置予定だった開閉式の屋根は五輪後に設置することにするなど、大幅な計画変更が行われており、これらの工費は試算に含まれていません。つまり、五輪後もさらに工費がかかるということです。

さらには、この総工費の財源は2015年7月8日時点で626億円しか用意できておらず、東京都に費用の一部の負担が要請されています。

そもそも2520億円は相当に高額。ロンドンオリンピックのメインスタジアムの総工費は約800億円、アテネオリンピックのメインスタジアムの総工費は約約350億円なのだとか。それに比べると、2520億円がいかに高額なのかがわかります。

こうした問題点により、与野党や国民からは大きな批判の声が上がっています。

2015年7月16日、安藤忠雄氏が会見予定

そんな中、「前与党の民主党が決めたことだから」「今デザインを変更すると五輪に間に合わない」などと批判をかわしていた安倍晋三首相は、ついに2015年7月15日、スタジアム建設計画の見直しを発表。そしてようやく国際コンペ審査委員長である安藤忠雄氏も会見を決定しました。

それでは、会見を前におさえておきたい、今までの安藤氏の動向をまとめて見ていきましょう。

国際コンペ開催前

もともと、2016年夏季オリンピック招致の際は、安藤忠雄氏の設計でメインスタジアムを建設することを予定していましたが、招致には失敗。

しかし、2020年のオリンピック招致のため、今度は改めて国立競技場をメインスタジアムにする計画が立てられ、新国立競技場の建設案が浮上。コンペが行われることとなり、安藤氏が今度は審査委員長として携わることとなりました。

ものすごく大きなスケールのものを、ものすごく短いスケジュールで行うという困難な計画です
(引用:東京新聞:新国立競技場を考える 「施設建築ワーキンググループ」議事録検証:文化(TOKYO Web)より)

新国立競技場の建設計画が話し合われた2012年6月14日、安藤忠雄氏はこのように発言しています。2020年オリンピックだけでなく、2019年ラグビーワールドカップにも間に合わせるとなると、かなり施工期間が短く、当初から困難を伴う計画であったと認識されていたことが伺えます。

国際コンペ開催にあたって

この難しい時代に、国家プロジェクトとしてつくられる競技場とは、あらゆる制度的な枠組みを超えた、地球人がつくる地球人のための建築でなければならない。そして、混沌とする世界状況にあって、人々が新しい人間文明の未来を構築すべく立ちあがる、その意志を喚起するような、力に溢れたものでなければならない。つくるべきは地球人の未来へと向かう灯台、希望の象徴となれる場所だ。人間の叡智と現代技術の総力を結集した最高の建築を実現するため、広く世界に、アイディアを募りたい。
(引用:新国立競技場基本構想国際デザイン競技 :: AKICHIATLAS.comより)

コンペ開催にあたっては、審査員長としてこんなメッセージを発表。「地球人の未来へと向かう灯台」「希望の象徴となれる場所」としての新国立競技場のデザインに言及しています。

1次審査後

実際のコンペが行われたあと、1次審査を経て安藤氏はこのように発言。

新国立競技場は、いくつもの困難な課題に応えなければなりません。(中略)審査委員会で様々な観点から検討を行い、これらの困難さを超えて新しい時代の幕開けを告げる、ビジョンとメッセージを発信する11案を1次審査で選びました。地球の時代の、ひとつの見本となる建築が生まれることを期待しています。
(引用:新国立競技場コンペ、11点が最終審査に|日経BP社 ケンプラッツより)

開催にあたっての審査員長メッセージにもあるように、「新しい時代の幕開け」を予感させるようなデザインを選んでいることが伺えます。

最終審査後

そして最終審査を終えて最優秀作品が発表された際は、安藤氏はこのように発言していました。

最優秀案は相当な技術力が必要である。これが日本でできるとなれば、世界へのインパクトがある。材料、工法、構造技術、設備技術について、日本の優秀さを世界にアピールできて、世界中の人たちから注目を集めることができたら素晴らしい
(引用:日本経済新聞|新国立競技場、「ザハ」なぜ選ばれた 審査激論の中身より)

技術力を世界にアピールできるデザイン。これが、ザハ氏が選ばれた決定打となったようです。

コンペ終了後

安藤氏はもともと、デザインを選ぶところまでに関わる予定で、実際の設計などには関与しないつもりだったのだとか。

審査員長だけど、その後の基本設計、実務設計には関わらせてもらっていないと言っていました。
(引用:新国立競技場の大迷走を徹底解説!【経緯・関係者コメント】 | メガヒットの神様より)

こちらは、安藤氏から話を聞いたという、キャスターの辛坊治郎氏の発言です。

しかし、いくら実務には携わらない予定だったとはいえ、総工費の大幅な増加などにより、世論から大きく批判を受けることになり、辛坊氏には

辛坊ちゃーん、なんでこんなに増えてんのか、分からへんねん
(引用:新国立競技場の大迷走を徹底解説!【経緯・関係者コメント】 | メガヒットの神様より)

と発言したのだとか。また辛坊氏の番組内では、安藤氏が送ったとされるFAXの内容も紹介されました。

コンペの条件としての予算は1300億円であり、応募者も認識しています。提出物には建築コストについても示すように求められていました。それは当然評価の一つの指標となりました
(引用:新国立競技場2520億円に安藤忠雄氏「なんでこんなに増えてんのか分からへんねん」|Huffington Post Japanより)

安藤氏としては、コンペの段階で予算についてもじゅうぶん考慮していたと考えていることが伺える内容です。

とはいえ、デザインを選んだ安藤氏への批判は強いもの。自民党の下村文部科学大臣は

1300億円は、ザハ・ハディド氏も、どの程度認識していたか。値段は値段、デザインはデザインと別々にしていたとしたら、そういうこと自体やっぱりずさんだったということになる
「新国立競技場建設、文科相「安藤忠雄氏は説明すべき」」 News i - TBSの動画ニュースサイトより)

と記者会見で発言しました。

どうなる、新国立競技場

これら一連の流れを受け、2015年7月15日、自民党は新国立競技場の設計案について再度見直しを行うことを発表。

そして2015年7月16日には、安藤氏自身が会見を行いました。

安藤氏の意見は、ザハ氏のデザインを残したまま、費用を削減する方向で調整するべきというもの。

とはいえ、タイムリミットもあるなか、どこまで調整が可能かは疑問です。

こんなツイートも話題になり、国民の反対の声は強まる一方です。今後の新国立競技場がどうなっていくのか、注目しておきたいところです。

(image by amanaimages)
(ライター:しとみあつこ)

この記事で使われている画像一覧

  • 0da74c24 afc9 4977 899d 1eff62ffcd7c

本記事は、2016年11月18日時点の情報です。記事内容の実施は、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。

編集部ピックアップ

期間限定のPRコンテンツをチェック!

もっと見る