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結婚もリスクヘッジする時代!「婚前契約」について弁護士に聞いてきた

2015年07月01日作成

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夫婦となる前のカップルが交わす「婚前契約」。海外では、トム・クルーズやブラッド・ピッドをはじめとしたセレブたちの間で結ばれており、さほど珍しい制度ではありません。日本でも、女優の遠野なぎこさんが婚前契約をしたことで、一躍有名になりました。

世間では「もしものときにモメなくてすみそう」「内容考えるの面白そう!」といった賛成意見の一方で、「結婚前から契約書を取り交わすなんて…」「逆にケンカになってしまうのでは?」と慎重派の意見も聞かれます。

そこで今回は、弁護士法人アディーレ法律事務所の弁護士・篠田恵里香先生(以下、篠田先生)にお話を伺ってきました!婚前契約とはそもそも何なのか、長所・短所や盛り込むべき内容など、婚前契約に少しでも興味がある方は必見の内容です!

目次

そもそも婚前契約ってどんなもの?

特徴

日本の民法には、夫婦間の財産について取り決める「夫婦財産契約」という制度があります。結婚前にしか交わすことはできないので、広い意味では婚前契約に入るようにも思えます。

しかしこの制度、読んで字のごとく財産に関係のある内容でなければいけません。誰にでも主張できるようにするためには、法務局に登記が必要。手間がかかることもあってか、これを利用する夫婦は1年に10組程度とのこと。

婚前契約は、財産以外の内容に関しても幅広く決められるのが特徴のひとつ。登記も必要ないので、さほど手間をかけずに作成することが可能です。

篠田先生「愛情表現のしかたなど、一般的な契約では明記しないような内容でもOKです。とはいえ、内容によって良くも悪くも作用するのがこの制度です。お互いの関係と契約内容をしっかりと吟味したうえで、決めていきましょう」
お互いの気持ちや要望を素直に盛り込める!

なぜ婚「前」なのか

いざ結婚すると、恋人のころは気づかなかったことや、夫婦になってはじめて意識したことも出てきます。それらに対応するには、結婚後に契約をするほうがよさそうですが、結婚「前」でなければいけない理由があるのでしょうか?

篠田先生「夫婦になると、ふたりの間に『契約取消権』が発生します。結婚してから結んだ約束は、一方の申し出で取り消すことが可能になります」

なるほど!結婚後に決めたことだと、片方が納得のいかない内容であれば、なかったコトにできてしまうんですね。

その点、婚前契約は結婚前に交わすものなので、契約取消権の範囲外。つまり、夫婦となった後もどちらか一方の意思だけで取り消すことはできないのです。

婚前に取り交わすことで、結婚後も効力が続く!

どうやって作るの?

作成の方法には二通りあります。

一つは、自分たちで作成する方法。自由な形式で構わないので、一筆したためた上で、日付を記載し捺印します。

もう一つは、公正証書にする方法。公証役場に持っていきます。自分たちで作成した場合に比べ、強い効力を持つのが特徴です。例えば、離婚した後に何らかの理由で払うべき慰謝料が払われなかった場合、相手の給料や財産を差し押さえすることも可能なのだそう。

篠田先生「いずれにしても、一度は専門家に見てもらい、客観的なアドバイスを得るようにしましょう」

どんな内容にしたらいいの?

婚前契約では、お互いの気持ちや要望を素直に盛り込めるとのお話でした。しかし、なんでもいいと言われると、かえって迷って決められないもの。そこで、盛り込んでおくと良い内容についてうかがいました。

お金のこと

別々だった家計が、結婚して一つの家計になるのですから、お金の使いかたや貯めかたでトラブルが起こることはじゅうぶんに予想できます。

子どもを育てるための費用やマイホームなど、今後の大きな出費に備えて「収入から20%家計に入れる」「定額で月5万円は必ず貯金に回す」というようにお金の貯めかたを明文化しておくのが良さそうです。

子ども・両親のこと

子どもに関しては、教育方針のすり合わせをしておきましょう。「バイオリンを習わせて、海外留学もさせたい!」「伝統ある私立の学校に、幼稚園から入れたい!」などの夢があるなら、相手の理解は必須。どうしても譲れない部分は、婚前契約の際にしっかり話し合って、明確に記しておきましょう。

また、トラブルが起こりがちなのが、両親の介護について。つきっきりで介護が必要になった場合、働き方や住む場所にも深く影響します。もしものとき、どちらがどのくらいの範囲で介護をするか、決めておくとよいとのことです。親戚や兄弟で頼れる人がいるかどうかも、あわせて確認しておきましょう。

離婚したときのこと

誰だって、離婚を前提に結婚したりはしません。しかし、一寸先は闇…何が起きるかわからないのが人生です。慰謝料や財産分与について、ドロドロの争いを巻き起こさないよう、具体的に決めておきましょう。

浮気された場合の慰謝料の金額は、相場より若干高めに設定しておくと安心。婚前契約で金額が明文化されていれば、多少高めの金額であっても、裁判所も認めやすいとのことです。

とはいえ、法外な値段は認められないことも。良識の範囲内で、自分が納得できる金額を設定しましょう。

その他、気をつけること

篠田先生によれば、長い結婚生活で忘れがちになりそうなことを書いておくとよいのだそう。相手への尊敬や感謝といった感情は、毎日顔を合わせているとそれが当たり前のようになり、新婚のときほどではなくなってしまいます。

篠田先生「ただし、相手の肉体的・心理的拘束を伴うものはやめたほうがいいですね。離れていてもメールをするなど、愛情表現に関することは、愛されていれば必然的に行われるものです。愛情を確かめることを強制するような契約は、おすすめできません」

愛されていれば必然的に行われる…!なんとも心に響くお言葉ですが、確かにおっしゃるとおり。義務になってしまっては、本来あるべき「相手を想う気持ち」とはかけ離れたものからくる行動になってしまいますね。

「子供が生まれても、3ヶ月に一度はふたりで外食をする」「結婚記念日は毎年思い出の場所でデートする」など、初心に返ることができるような内容にとどめておくのがよさそうです。

婚前契約のメリットとデメリット

婚前契約がどのようなものなのか、よくわかりました。では、婚前契約をすることによって生じるメリット・デメリットについても、教えていただきましょう。

婚前契約のメリット

篠田先生「事前にトラブルを防ぐことができます。たとえば不倫で離婚する際のお金のことについて、婚前契約で細かく決めておけば、しっかり払ってもらえます。また、そのように決めておくことで、相手に心理的な抑制効果も期待できます」

日本では、結婚するのはカンタンですが離婚するのは何かとモメるもの。慰謝料や養育費といったお金をめぐっての泥沼の争いも、決して珍しいことではありません。もしそうなったとき、婚前契約で金額や払う・払わないを定めておけば、無駄な争いをしなくてすみます。

それに、「不倫したら500万!」とあらかじめ決められていれば、浮気症の人でも「バレたら500万払わなきゃいけないしなぁ…」と、抑止効果がありますね。

お金以外の事項についても取り決めることができるので、予想されるトラブルは事前にある程度防いでおけるのが、婚前契約のメリットと言えそうです。

婚前契約のデメリット

篠田先生「まずはふたりの関係がぎくしゃくしてしまう可能性が挙げられます。ご両親などの反対にあうことも考えられますね。相手や周囲の人たちを根気強く説得し、わかってもらうようにしましょう」

日本ではまだまだなじみの薄い婚前契約。婚約者に「もしものときのために、婚前契約を結んでおきたい」と言われると、やっぱり身構えてしまう人が多いでしょう。結婚を目前にすると「こんなに愛し合っているのに『もしも』なんて来るわけない!」と視野が狭くなってしまうのかもしれません。

しかし、その「もしも」が実際に来てしまってから悩んでも遅いのです。婚前契約をしたいと思うなら、そのことを相手や周囲に理解してもらうのが第一歩となりそうですね。

結婚前というタイミングだからこそ、冷静にリスク回避をしよう!

特に婚前契約をしておくべき・しなくてもよいカップルとは?

自由に内容を決めることができ、夫婦になる前だからこそ意味のある婚前契約。基本的にはどんなカップルでも作成してよいのですが、特に婚前契約を結んでおくべきカップルや、逆にその必要はないというカップルもいます。それは具体的にどのような人たちなのでしょうか?

契約をしておくべきカップル

特に婚前契約をしておくとよいのは、相手にあやしい点・不安な点があるカップル。

篠田先生「具体的には、モラハラ・浮気症・虚言癖などが疑われる場合ですね。万が一の場合のため、婚前契約という武器をひとつ作っておくことをおすすめします」

性格に難ありのパートナーの場合でも、家庭をもつことで責任感に目覚め、良き夫・良きパパに変わってくれたという話も山ほど耳にします。ですが、みんながみんな、そうなるとは限りません。

相手の不倫や理不尽な行為で苦労するのは、他でもない自分自身です。思い当たるふしがある方は、リスク回避のための婚前契約を考えてみてはいかがでしょう。

契約しないほうがよいカップル

婚前契約をしないほうがよいカップルとは、ずばり女性のほうが上の立場にいるカップルなのだそう。

篠田先生「婚前契約は、内容の自由度が高いぶん、女性が自分に有利なものを作ってしまいがちです。そういった契約内容は、徐々に男性のストレス・不満につながり、蓄積されて離婚へと発展してしまいます」

篠田先生によれば、女性のほうが内容をよくチェックする傾向にあるのだそう。だからこそ、婚前契約は女性優位のものになりがちです。

たしかに、「1時間に1回居場所をメールする」「毎日『愛してる』と伝えなければならない」などの極端な内容では、息が詰まってしまいますよね。もともと女性が男性を尻に敷きがちなカップルであれば、あえて婚前契約をすることがトラブルにつながる可能性もあるのだとか。

それでも作成するという場合は、相手を窒息させないように、第三者のアドバイスを素直に聞くのがよさそうです。

相手の短所や、ふたりの関係をよく吟味しよう!

ずっと仲良くいるための、保険としての婚前契約

夫婦の万が一に備える、婚前契約。日本では最近になって制度こそ知られたものの、まだなじみが薄いので、実際に取り交わしている夫婦は少ないのが現状です。

結婚直前の夢見る時期に、「もしも」のことを考えるのは気が進まない…という方もいらっしゃることでしょう。しかし、今回お話をうかがって、婚前契約は決してマイナスなことばかりを連想させるものではないということがよくわかりました。

結婚後の生活のきまりを文章にすることで、ふたりの目標や理想の夫婦像をしっかりとイメージでき、協力しあえるようになります。何十年も経てば忘れがちな結婚記念日や恋人の頃の気持ちも、折にふれて思い出すことができるのです。

夫婦とはいえ、他人ですから衝突することも時にはあるでしょう。しかし、一度は愛した相手と憎みあうようになってしまっては、悲しいですよね。安定した夫婦関係の保険として、婚前契約を捉えなおしてみるのはいかがでしょうか。

今回お話を伺ったのはこちら!

弁護士法人アディーレ法律事務所・弁護士 篠田恵里香先生

東京弁護士会所属。東京を拠点に活動。債務整理をはじめ、男女トラブル、交通事故問題などを得意分野として多く扱う。離婚等に関する豊富な知識を持つことを証明する夫婦カウンセラー(JADP認定)の資格も保有している。多数のメディア番組に出演中。

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著者:nanapi編集部

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本記事は、2015年07月01日時点の情報です。記事内容の実施は、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。

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