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弁護士も悩む「不倫」のボーダーラインとは

2015年04月09日作成

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軽い気持ちで足を踏みいれたはずが、ついついのめりこんでしまった…そんな恐ろしい不倫。既婚者と関係をもってしまった、恋人が実は既婚者だった、などまるでドラマの世界のような話が、もしかしたらあなたの身近なところに潜んでいるかもしれません。

浮気や不倫の感覚は人によって様々。自分では許容範囲内の軽い遊びのつもりでも、多額の慰謝料を請求されてしまってからでは遅いのです。

そこで今回は、「慰謝料請求」という視点から、どの一線を越えれば「不倫」になってしまうのか、浮気・不倫問題に詳しい弁護士法人アディーレ法律事務所の弁護士・島田さくら先生(以下、さくら先生)にお話を伺ってきました!

目次

そもそも「不倫」とは?

実は法律上「不倫」という言葉はなく、「不貞行為」という言葉で表されています。この不貞行為という言葉は離婚に関する条文に記されており、「配偶者のある者が、自由な意思にもとづいて配偶者以外の異性性的関係をもつこと」を意味します。

ただ、この短い一文を読み解こうとすると、いくつかの疑問が出てきます。まずは、どのような場合が不貞行為に当たるのか一つ一つ噛み砕いて説明していきましょう。

配偶者って?

配偶者とは一般的には婚姻届を役所に提出し、戸籍上でも「妻」「夫」と称される人のことです。ただし、配偶者に準ずる男女関係というものも存在します。

例えば、近年では婚姻届を提出せずに表向きには夫婦同然の生活をしている「内縁関係」を結んでいる男女も数多くいます。内縁関係とは単に婚姻届が提出されていないだけで、その他は普通の夫婦と何ら変わりがありません。そのため、どちらかが他の異性と性的関係を持てば、不貞行為となる可能性があります。

また、婚約中の場合は「不貞行為」にはあたりませんが、婚約破棄ということになれば精神的苦痛の代償として慰謝料を請求される可能性も十分にあります。

自由意思とは?

自由意思とは、脅迫や強要などをされることなく、自らの意志で、という意味です。つまり、セクハラや強姦などで一方的に性行為に及んだ場合には不貞行為にはなりません

不倫関係ではなかったという言い訳のために、いざ訴えられてはじめて「あれはセクハラだった」などと主張し始めるケースも少なくないそうです。

本当にそれが強姦やセクハラなのだとしたら、もちろん自由意思にのっとっているわけではないので慰謝料請求は認められません。ただし、その行為がセクハラや強姦であったと証明することが必要です。

警察や相談窓口にかけあったことが記録に残っているとか、脅迫されて口止めされていたのであればその証拠になるメールや音声などが残っているというのであれば、その行為が同意の上でなされたものではなかったという裏付けになるでしょう。逆に、普段から好意のあるメールを送っていたなどの証拠がある場合には、自由意思に基づいて関係を結んだのではないかと思われやすいので、こちらに不利な証拠となります。

不倫相手が同性だった場合はどうなるの?

法律上の不貞行為は離婚に関する条文にあるため、定義として「異性」と「性的関係を持つ」ことを指しています。そのため、夫が男性と、妻が女性と関係を持つことは不貞行為とされません。ただし同性同士でも、その不貞行為によって夫婦関係を破たんさせていたのだとしたら慰謝料を請求される可能性はあります。

実際に過去の判例でもそういったケースは存在しますが、同性が相手の場合は、一緒の部屋で一晩過ごしたなどという状況証拠だけでは性的行為があったとは言い切れないため、異性と関係をもった場合に比べて、不貞行為の有無を証明するのは難しいそうです。

デートやキス、食事に行っただけで不貞行為になるの?

あくまで不貞行為は、性行為もしくは性類似行為があるということが基本となっています。言い換えてしまえば、デートをした、好意のあるメッセージのやりとりをした、手をつないだ、キスをしたなどの行為だけでは不貞行為にはあたりません。

ただし、性行為というのは大体が密室で行われるため、行為中の写真や音声などの証拠がある場合を別として決定的な証拠をつかむことは困難です。そのため、以下のような事実を組み合わせることで、当然その延長線上に性行為があったんだといった形で不貞行為の事実を主張していくそうです。

  • キスをしていた
  • 仲良く手をつないでいた
  • 頻繁に2人で食事に行っていた
  • 好意のあるメール・電話のやりとりをしていた
  • 相手の部屋に長時間滞在していた
  • ホテルに行った
  • 2人で旅行に行った
さくら先生「手をつないだだけ・好意のある電話やメールをしただけ・キスしただけでは不貞行為で慰謝料をとることはできないんです。しかし、こういった行動を重ねていると『結局こういうことまでやってるんだから、その先に性行為もあったよね?』と裁判所に認められてしまう可能性が出てくるので、明確なボーダーラインはひきにくいんです」

何回目からが不倫?

一夜の過ち、気の迷い、酒の勢い…よく耳にする言葉ではありますが、たった1度性的関係を持っただけでも、それは不貞行為にあたります。

もちろん、長期間不倫関係が続いていた場合と1度関係を持っただけの場合とでは、当然前者の方が悪質であるとして慰謝料の金額等にも違いが生まれます。しかし、自由意思で性的関係を結んだ以上、不倫であることに変わりはありません。たった1度の関係で、恋愛感情もその後の付き合いもなかったにも関わらず、裁判で150万円の慰謝料が認められた例もあるそうです。

不倫によって訴えられるのは?

不倫における慰謝料請求では、誰が訴えられるのかも問題になってきます。

例えば、夫に浮気された妻は、不倫相手の女性のみを訴えることもできますし、離婚をする場合などは、夫と不倫相手の両方を訴えることもできます。基本的には配偶者がいるにもかかわらず不貞行為に及んだ夫の責任が大きいとされますが、不倫相手の方から積極的に誘ったということになると、そちらの責任が重くなってきます。

ここで興味深いのが、男女によって訴え方に違いがあるということです。

さくら先生「妻が訴える場合は不倫相手の女性だけを訴えるケースが多い一方、夫が訴える場合は不倫相手と妻の両方を訴えるケースが多いように感じます。女性の場合は、離婚した場合の経済的な問題を考えて躊躇してしまうことも多く、『この人は悪くない。悪いのは相手の女だ』と思う傾向も強いようです」

慰謝料が発生する条件

不倫の事実があったとしても、それだけでは慰謝料を請求される条件が満たされているとはいえません。以下のポイントをチェックしましょう。

  • 不貞行為(性的関係)があったかどうか
  • 不倫相手が既婚者であると知っていたかどうか
  • 不倫が始まった時点で、夫婦関係は円満だったかどうか
  • 時効で請求権が消滅していないかどうか

不貞行為(性的関係)があったかどうか

前の項でも触れたように、不倫で慰謝料が発生するかどうかは、不貞行為(性的関係)の有無がポイントになります。不貞行為を疑わざるを得ないような行動が重なっていた場合は、慰謝料請求が認められる場合もあります。

ただし、性行為がなくとも、夫と他の女性が親密な関係になったことが原因で夫婦関係がうまくいかなくなってしまった場合に、精神的損害の代償として慰謝料が認められたケースもあるそうです。

不倫相手が既婚者であると知っていたかどうか

不法行為に基づく慰謝請求ができるのは、不貞行為に対して故意または過失があった場合とされています。

不倫の場合でいうと、故意とは「相手が結婚していることを知りながら関係を持つこと」で、過失とは「注意すれば気づく要素がいくつもあるのに、相手が結婚していることに気づかず関係を持ってしまった」ということになります。

つまり、相手が結婚していることを全く知らなかったし、知る方法もなかったような場合には慰謝料は請求できないということなのです。

そして、過失があったかどうかは周りの事情から判断されます。以下のように相手が既婚であると気づくべき要素があったとされる場合には、たとえ相手が既婚であると知らなかったとしても、過失が認められて、慰謝料を請求される可能性があります。

  • 相手が同じ職場の上司だった
  • 共通のコミュニティがあった
  • 相手が薬指に指輪をしていた
  • デートはしても、毎回宿泊することはなかった
  • 週末には連絡が取れないことが多かった

一方、出会い系サイト等で知り合っており、共通の知人も一切いないということであれば、過失は認められにくいでしょう。

不倫が始まった時点で、夫婦関係は円満だったかどうか

不倫が始まった時点で、婚姻関係がすでに破たんしていた場合には、夫婦として保護されるべき利益がないと判断され、慰謝料請求が認められないことがあります。

婚姻関係が破たんしているかどうかは、さまざまな事情から総合的に判断されますが、その際に一番わかりやすいポイントの一つが同居の有無です。すでに別居状態にあれば婚姻関係が破たんしていると判断される可能性も高いですが、同居をしている場合、婚姻関係が破たんしているかどうかは家庭内の問題になってくるので、判断が難しくなってきます。

慰謝料請求をされた時点で、不倫相手が「私は、すでに夫婦仲は破たんしていたと聞いていたので、不倫関係になりました」というような主張をしてくるというケースは多いそうですが、当然その主張だけでは通用しません。相手の婚姻関係がすでに破たんしていたと信じたことに過失がないという証拠がないと裁判所も認めてくれないのです。

時効が完成していないかどうか

不法行為に基づく慰謝料請求権は、いつまでも行使できるわけではなく、法律上、一定の期間が経過すると消滅するものと定められています。これがいわゆる「時効」です。大まかにいうと、次の2つの場合があります。

  • 1.不貞行為そのものに対する慰謝料請求は、不貞の事実を知った時から3年
  • 2.不貞行為によって夫婦が離婚したことについての慰謝料請求は、離婚してから3年

細かくいえば、このほかにも事案の内容等によって、請求期間に制限があるので、自分で判断せず、弁護士に相談した方がいいでしょう。

時効が間近に迫っていても、裁判上の請求(支払督促の申立、訴訟の提起、民事調停の申立、即決和解の申立)をされた場合には、その時点で時効期間がゼロとなり、また最初から期間がカウントされることになります。

慰謝料の相場

慰謝料とは、不倫をされたことによって受けた精神的な苦痛に対して支払われるお金です。

配偶者や不倫相手に慰謝料を請求することは、不法行為に基づく損害賠償請求として法律で認められていますが、慰謝料の金額については実は明確な基準は定められていません。

様々な要因が組み合わさって金額が決められるためケースバイケースにはなりますが、過去の判例を基に考えると、大体以下のような金額が相場となっているようです。

不倫後の状態 慰謝料の相場
離婚に至らなかった 50~100万円
不倫が原因で離婚に至った 100~300万円

ただし、上記の慰謝料はあくまで裁判になった場合の目安です。

実は不倫が原因の慰謝料請求をする場合に裁判の判決までいくことは少ないそうです。多くの場合、話し合いによる和解となるのですが、この場合は上記の目安どおりになるとは限りません。慰謝料の金額を左右する事情としてはさまざまなものがありますが、特に金額に大きく影響するものとしては、以下のようなものがあります。

年齢

思慮判別の観点から、請求される人の年齢が高いほど慰謝料は高くなる傾向にあります。また、不貞行為を行った2人の年齢差が大きいほど、年齢が高い方に不貞行為の主導権があったと判断されたり、慰謝料の金額が高くなる傾向にあります。

婚姻期間

婚姻期間が長ければ長いほど、慰謝料の金額は高くなります。

不倫が発覚する前の婚姻生活の状況

不倫が発覚する前の夫婦仲が良好であれば、不貞行為によって夫婦関係が破たんした損害は大きいと判断されるため、慰謝料の金額は高くなります。

不倫相手の認識・意図

故意の不倫と過失の不倫では、前者の方が慰謝料の金額は高くなります。また、不倫相手が積極的に相手の婚姻関係を破壊する意図や言動があった場合には、さらに悪質だとして慰謝料の金額が上乗せされる傾向にあります。

不倫していた期間・不貞行為の回数

たった一度の関係と長期間にわたる不倫関係では後者の方が慰謝料は高くなります。また、不倫期間の長さに加え、具体的な不貞行為の回数・頻度が増えるほど、慰謝料は高くなります。

不貞行為の否認

不貞行為を行っていた事実があるのにも関わらず「不貞行為はしていない」などと嘘をついた場合、反省の色がないとして慰謝料の金額が加算される傾向にあります。

子どもの有無

夫婦間に子どもがいる場合といない場合では、子どもがいるケースのほうが慰謝料が高くなる傾向にあります。

反省・謝罪の有無

不倫関係を持ったことに対して深い反省の色と謝罪があった場合には、慰謝料は減額される傾向にあります。また職場不倫などで片方が辞職した場合などは、すでに社会的制裁があたえられているとして、減額されることもあります。

請求相手の社会的地位と資力

配偶者または不倫相手など、慰謝料を請求する相手の収入が高い場合は慰謝料が高額となることがあります。

不倫相手への金銭の贈与

配偶者が不倫相手に対して多額の金銭や物を貢いでいた場合には、慰謝料は高くなる傾向にあります。

その他

上記はほんの一例です。そのほかには、探偵を雇うなど不倫の証拠をつかむためにかかった調査費用などが加味されることもあるそうです。

さくら先生「不倫の調査に探偵を使われる方は、結構多いんです。本当に特殊なケースというわけではないですね。ただ、探偵を雇う費用って高いんです。50~100万円ほどかかってしまうこともあります。裁判所もそれをわかっているので、探偵をつけていて不貞の証拠がたくさん出てきた場合なんかには、裁判所の提案する和解の慰謝料も高く設定されることがあります」

で、結局不倫のボーダーラインはどこなの?

不倫のボーダーラインは様々な要因によって異なるものなので、一概に定めることはできません。弁護士であっても「不倫のボーダーラインはここ!」と言い切ることはできないので、ここまではセーフ・ここから先は危険!と、自分で判断することは困難です。

明確なボーダーラインを引くことはできないとはいえ、疑わしい行為をすれば、不倫で訴えられる可能性はなきにしもあらず。結局は「少しでも怪しまれるような行為をした時点で不倫とみなされる」と考えて慎重に行動するのがいいのかもしれません。

いざというときに後悔しないためにも、不倫や不倫に間違われてしまいそうな行為は控えるのが一番ですね!

今回お話を伺ったのはこちら

弁護士法人アディーレ法律事務所・弁護士 島田さくら先生

大阪大学大学院高等司法研究科卒業。司法修習第65期。東京弁護士会所属。

元カレからのDVや、妊娠が発覚した翌日にカレから別れを告げられるなど、過去のオトコ運の無さからくる、波乱万丈な人生経験をもとに、悩める女性の強い味方として男女トラブル、債務整理、労働問題などの身近な法律問題を得意分野として扱う。家庭では1児の母として子育てに奮闘している、シングルマザー弁護士。

「こちらも併せてチェックすると、不倫と慰謝料の問題について理解が深められると思います」とさくら先生。
マンガでわかる「愛と慰謝料の掟(ルール)~請求されたら・・・編~」

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(ライター:野口飛鳥)

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本記事は、2015年04月09日時点の情報です。記事内容の実施は、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。

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