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入社してすぐ会社をやめたくなったときに考えるべきこと

2015年04月07日作成

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厚生労働省のデータによると、1995年から20年近く、大卒の3年以内離職率が3割という状態が続いています。最近になって急に増えたわけではないようですが、入社した会社をすぐに辞めようとする若者は後を絶ちません。

もちろん、全ての若者が仕事にやりがいを感じられないというわけではないはず。中にはキャリアアップのためといったボジティブな理由で離職する人たちもいます。とはいえ、入社3年以内の早期離職にはデメリットがつきものです。

そこで今回は自身も早期離職者であり、早期離職者の実態を知るために、3年以内に仕事を辞めた100人もの若者にインタビューをしたという、株式会社カイラボ代表・井上洋市朗さんに、会社を早期離職する前に考えてみてほしいことについて伺ってきました。

目次

すぐに会社をやめるとどんなデメリットがあるの?

早期離職をするデメリットはいくつかありますが、わかりやすいものだと以下の2つが挙げられます。

1:失業保険をあてにできない

失業保険は、基本的に離職日以前の2年間に雇用保険の被保険者期間が通算して12カ月以上なければ、原則として受給対象にはなりません。つまり、1年目で離職をしてしまった場合は、いかなる理由であろうとも失業保険をもらうことはできないことになります。

ただし、会社都合での離職や特定の理由による離職の場合、離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6か月以上の場合でも支給対象になることがあります。

2:転職のハードルが高くなることがある

もはや終身雇用制度が崩壊しているといわれる現代においても、いまだ日本企業の多くが新卒の早期離職に対してマイナスの印象を抱いていることは否定できません。

特に大手企業になればなるほどその傾向は強く、求人応募数が多い人気企業の中には、求人をする際に「1社目を3年以内に辞めている人は全てNG」という裏フィルターをかけている企業が存在するのも事実です。もし将来そういった大手企業への転職を視野に入れているようであれば、1社目の就業期間は長い方が採用の可能性は高まるでしょう。

井上さん「とはいえ、少なくとも『3年以内に辞めた』という理由だけで転職できないわけではありません。ただ傾向として、早期離職をした人はなんらか本人に問題があると企業に思われてしまうことも少なくありません。また、離職理由と志望理由を明確に説明できないために、転職に苦労するケースもあります」

その悩みは仕事を辞めれば解決するのか考えてみよう

そもそも、自分がなぜその仕事・その会社を辞めたくなったのか、今一度考えてみましょう。

たとえば人間関係が原因で辞めたくなった場合。根本的に何か問題がある人間は別として、新入社員なら入社当時はたいてい誰とでもフラットな関係を築けるもの。それが何かのきっかけでうまくいかなくなったなら、原因となるものが必ずあるはずです。

その原因がそもそも何だったのか、どうすれば人間関係を改善できたのか、そこを見極めない限りは離職をしても根本的な問題解決になりません。一時その問題から逃れられて楽になったとしても、次の場所でも同じことを繰り返してしまう可能性は大いにあります。

今いる会社を辞めなくてもすむ道を一度じっくり考えてからでも、「辞める」という選択をするのは遅くありません。

井上さん「次、同じ状況になったときに、また『逃げます』だと永遠に同じことを繰り返すことになりますよね。『逃げ』は若いうちの2~3回しか使えないのに、その大事な1回を今使っていいの?ということは考えた方がいいと思います。考えた末にそれでももう耐えられないと思うなら、そこではじめて辞めることを考えればいいんです」

それでも、こんな状態なら離職を検討してみてもいいのかも

仕事が辛くて自殺を考えたことがある

多少の「辛い」や、冗談での「死にたい」は別として、仕事が原因で自殺を考えてしまうまで追い詰められてしまった場合は離職を考えましょう。直接的に自殺を考えるまではいかなくとも、仕事のストレスで眠れないために入眠剤や安定剤を常用しているような状態だと、突発的な行動を起こしてしまう傾向があるとも言われています。

井上さん「薬を飲みながら無理をして仕事を続けるよりは、一度休職したり長期休暇をとったりして、将来のことも含めて自分にとって何が大切なのかゆっくり考えてみてもいいのではないでしょうか」

仕事を始める前に比べて明らかに身体に変調が起きている

自殺まで考えずとも、身体に以下のような不調が現れ始めたら要注意です。

  • 出勤しようとすると吐き気がするようになった
  • 酷い下痢や便秘に悩まされるようになった
  • 通勤中にしばしばめまいが起きるようになって電車にひかれそうになった

また体調不良ではなくとも、以下のように仕事を始める前と比べて明らかに心身に変調が起き始めたら、休職をしたり、長期休暇をとるなどして一旦仕事を離れた状態で自分を見つめ直してみてもいいかもしれません。

  • 元々お酒はそんなに飲まなかったのに、お酒を飲んでは泣きわめくようになった
  • 元々朝は弱い方ではなかったのに、どうしても起きられなくなった
  • 十分に睡眠をとっているはずなのに、日中猛烈な眠気に襲われるようになった
  • 特別なことがないのに、急に涙が溢れて止まらなくなった
  • 家に帰った瞬間、せきを切ったように号泣して気づいたら朝だった

人間、頑張りすぎているときは自分の変化に気が付きにくいこともあります。昔からの友人や周りの人達に、自身の変化について指摘されたときは一度立ち止まってみましょう。

自身も早期離職者である井上さんも、仕事中に突然現れた身体の変調がきっかけで、会社を辞める決断をしたそうです。

井上さん「私の場合、ミーティング中に涙が止まらなくなるっていう現象が2週間のうちに2回続いたんですね。1度目は『疲れてるのかな』くらいの認識だったんですけど、それが短期間で2回続いた時点で『あっこれはもう現実的にこの仕事を続けていくのは無理だな』と確信してしまったんです」

心の病気になってしまった可能性もあります。あまりにも辛いようだったら、まずは病院を受診してみましょう。

早期離職をする前に準備しておきたいこと

色々考えた末に「会社を辞めよう」と決めたとしても、そのままただやみくもに離職することはおススメしません。突発的に仕事を辞めてしまうと、あとであわてることがたくさん出てきます。辞める前に、最低限以下のことは準備しておきましょう。

  • お金を用意する
  • 生活する場所を確保する
  • 転職活動を始める
  • 健康状態を確認しておく
  • 最低限の雇用に関する法律や制度を知っておく

お金を用意する

当然のことではありますが、お金がないと生活することができません。

会社を辞めた直後は色々なものから解放されて自由になった気になるでしょう。しかし転職活動をするのにもそれなりにお金はかかります。だんだんお金がなくなってくると、何をするにも不安がつきまとうようになり、行動範囲も狭まり、ついには何もできなくなってきてしまう…なんてことにもなりかねません。

勤めていた会社で社会保険に加入していて、保険の受給対象者になっていれば、失業保険がおります。ただし、自己都合で離職した場合は給付制限期間が設けられ、3か月間は給付金が支給されません

また上述の通り、早期離職者の場合は被保険者期間が足りず、失業保険をそもそも受け取れない場合もあります。そのため、どちらにしろ最低でも3か月間は生活していけるだけの資金が必要となります。

具体的には給料(手取り)×3か月をベースに考えて、そこにいままで会社が負担してくれていた保険・年金などを自分で負担することを考えると、最低50万円ほどは用意しておいた方が安心でしょう。

井上さん「目先の生活費をまかなうために始めたアルバイトが忙しくなりすぎて、転職活動をする暇がなくなってしまうケースもあります。時給が高いバイトだと、下手したら新卒の月給よりも稼げてしまうこともあるんですよね。そうすると『このままでもいいんじゃないか』と思ってしまうケースもあり得ます」

生活する場所を確保する

元々実家暮らしをしている人はひとまず心配はありませんが、一人暮らしの場合は、現在の部屋に住み続けられるのか、もし無理であるならば職が見つかるまでの間実家に戻ることはできるのか、恋人や友人などに頼ることはできるのか、など今後の住環境についてしっかりと考えておく必要があります。

また、一時的に無職になった際に現在の家賃を払っていくのが厳しい場合は、生活費を見直さなければなりません。

たとえば、月8万円の家賃の部屋に住んでいたとして、月6万円の部屋に引っ越すと、1年で2万円×12か月=24万円の節約になります。これは大きいですよね。

なお、仕事を辞めて無職になると、一時的に社会的信用が低くなってしまいます。そうすると賃貸契約時の審査も通りにくくなり、引っ越しも難しくなります。確実に住める住環境はあるのか、事前にしっかり考えておく必要があります。

転職活動を始める

転職は思いのほか、時間がかかるものです。応募から内定が出るまで短くても1ヶ月ほどかかることが多く、すぐに転職候補が見つけられる保証もありません。転職先が決まってから辞めるとまではいかなくても、ある程度は求職活動をして次の転職先の目途をつけておくことで、離職後にあわてずにすみます。
 
なお転職市場では、在職中に転職活動を始めた人と離職後に転職活動を始めた人を比較した場合、前者の方が魅力的に映ることが多いようです。採用の際に「前の会社がダメだったから後先考えず辞めた」ととらえられるか、「現状に不満があって、それを改善するために転職を視野に入れて行動している」ととらえられるかで大きく変わってくるほか、面接日や入社日、年棒交渉などでも足元を見られることも少なくないといいます。

井上さん「私も会社を辞める少し前から転職活動を始めていました。内定はしていないものの、今の自分であれば少なくとも転職先がないっていうことはないと確信したところでスッパリ会社を辞めたんですが、それを人材紹介会社の担当に伝えたら物凄い勢いで怒られましたね(笑)。それくらい、転職市場においては、会社を辞める前の方が色々と有利にはたらくみたいです」

職務経歴書が必要になるなど、転職活動は新卒の就職活動と勝手が違うこともたくさんあります。もし仕事が忙しくて転職活動の時間が取れない場合には、求人サイトのチェックなど、できることから始めておくといいでしょう。

健康状態を確認しておく

離職を考える理由に「体調を崩した」ことを挙げる人もいると思います。身体に変調がみられたら、会社を辞める前にできるだけ早く病院に行くことをおすすめします。早いうちに症状を自覚すれば、休職制度を利用して、会社の保障を受けながら治療していくことも可能だからです。

また、結果として辞めることになったとしても、仕事が原因で就業不可能になってしまったことが証明できれば、自己都合離職でも会社都合離職と同様に失業保険の給付制限期間が免除されて、給付金を受給できる場合もあります。医師の診断を受けて、必要なら診断書をもらうなど、早めに行動しておいて損はありません。

最低限の雇用に関する法律や制度を知っておく

会社を辞める前に最低限の雇用に関する法律や制度については、知っておく必要があります。まずは、以下の点は最低限確認しておきましょう。

  • 自分の雇用保険の加入の有無、加入期間を確認する
  • 体調不良の場合は、医師の診断書をもらう
  • 離職理由に関しては、会社都合離職・自己都合離職の部分で交渉の余地があるのか確認する

そのほか、雇用に関する法律や制度を知らなかったがために損をしてしまうことがないとも限りません。以下に一例をご紹介します。

  • 退職届は法律上では、離職日の2週間前までに提出すれば認められる

自分は辞めたいのに会社がなかなかやめさせてくれない、今すぐ辞めたいのに社内規則のために退職できるのは最短でも数か月先、などという話を耳にすることがあります。

実は、社内規定や就業規則で「退職は2ヶ月前までに申し出ること」などの文言があったとしても、法律上は2週間前の申し出で退職することができます。当然のことですが、法律より効力の規定などあるはずもないので、2週間前の申請で退職は可能です。これは過去の事例からも明らかになっています。

  • 自己都合離職であっても、ハローワークで会社都合として処理してもらえるケースがある

雇用保険では退職理由を、「自己都合」と「会社都合」の2種類に分けています。この退職理由を含めた離職時の状況によって、失業保険の受給者は「一般受給資格者」「特定受給資格者」といった受給資格区分に分けられ、給付開始時期や給付期間が決められます。

例えば、自己都合で離職した「一般受給資格者」には3か月間の給付制限期間が設けられるのに対して、会社都合で離職した「特定受給資格者」には制限期間が設けられず、認定を受ければすぐに給付金を受け取ることができます。

過去には、本来であれば会社都合で退職できたところを自己都合として処理されていたり、自分が気が付かないで自己都合だと思い込んでいたりするケースや、病気などの理由で「特定受給資格者」になれるケースがあります。

気になることがある場合には、一度ハローワークに相談してみることをおすすめします。

なにより一番大事なのは、人の事例に自分を当てはめないこと

「早期離職が良いか悪いかは一概には言えないですが、一つだけ伝えたいのは、早期離職の成功事例や失敗事例を見て、自分の辞めるか辞めないかを決めてしまうのが一番良くない、ということですね」と井上さんは言います。

少し極端な例えかもしれませんが、「3年以内に辞めるのなんて全然問題ない!」と言っている人たちは、わかりやすく言えば、一流大学を出て、外資系コンサルとかの一流企業を出て、自分で起業しているような人たちが多く、逆に「3年なんかで辞めるなんて早すぎる!石の上にも三年」と言ってる人たちは、長いこと同じ会社に勤めることが安定だと思っている人たちで、自身は3年以内の退職経験がない人たちが多いです。

つまりは、どちらも自分たちの経験ベースのことしか言えないんです。

自分のストーリーを人のストーリーに当てはめることなんてできません。これから長い自分の人生です。自分自身としっかり向き合って、いろいろなことを天秤にかけてとことん考えましょう。そして、一番大事なのは、その決断に自分で責任を持つことです。

井上さん「自分の経験ベースで語る人たちに2つのタイプの人間がいるということは、社会にも両方のタイプの人間がいるということです。自分がどちらになるのかは、自分でないとわかりません。ただ、一つ言えるのは、辞めるにも続けるにも、責任を取るのは自分だということです」

今回お話を伺ったのはこちら

株式会社カイラボ代表・井上洋市朗さん

大学卒業後コンサルティング会社に就職するも、自身の仕事に疑問を感じ2年で離職。自分と同じように3年以内で会社を辞めた早期離職者100人にインタビューを行い、その結果を「早期離職白書」にまとめて発表。現在は、株式会社カイラボ代表として企業に対し、若手・新卒の離職対策を軸に人材育成の研修を行っている。

(image by amanaimages1 2 3 4)
(ライター:野口飛鳥)

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本記事は、2015年04月07日時点の情報です。記事内容の実施は、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。

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