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人類はなんでフグを食べようと思ったのか?謎に迫ってみた

2015年02月20日作成

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人類の歴史の中にはいくつかの大きな謎が存在します。生命の誕生然り、異星人の存在然り、ブラックホール然り。まだまだ人間には解き明かすことのできない謎が、この地球上には数多く転がっています。

その中でもひときわ存在感を放つ謎が「なんでこれを食べようと思ったのか?」の謎。どう考えても「食べよう!」とは思えないようなビジュアル、臭い、性質。「そこに〇〇があるからだ」というジョージ・マロリー的感情論では解決できない、人類史上に燦然と輝く謎ではないかと思います。

その代表的な食材といえば、「ふぐ」ではないでしょうか。なんといっても毒があります。普通は食べようとは思わないでしょう。なぜふぐが食べられるようになったのか、少しだけ紐解いてみたいと思います。

目次

日本人とふぐの歴史

日本人とふぐとは意外と長い付き合いです。その歴史は山あり谷あり、数々の試練を乗り越えて今に至っています。

実は縄文時代から食べられていた

貝塚からふぐの骨が発見されており、縄文時代にはすでに食べられていたようです。当時はもちろんふぐの調理法などはなく丸焼きにして食べ、毒のある内臓などは捨てていたのではと考えられています。

安土桃山時代、大量の兵士がふぐで死亡

文禄・慶長の役の際、朝鮮出兵のため九州に集められた兵士たちが、ふぐを食べて死んでしまうという事件が頻発します。

これにより秀吉はふぐ禁止令を出し、その後江戸時代に入っても武士に対してはふぐ食を禁じる藩が多かったということです。

江戸時代、禁止されつつも食べる人々

安土桃山時代に秀吉によって出されたふぐ禁止令。それにならって諸藩でも禁止令が出されます。

例えば、尾張藩ではふぐを売買した人は牢屋に5日間押し込み。さらに長州藩・毛利藩ではふぐを食べるとお家断絶、と厳しく禁止され、武家の間ではふぐを食べることは困難でした。

しかし、庶民の間ではふぐは普通に食べられていたらしく、元禄・文化文政の時代になると庶民から武士階級の人々へもふぐが広まっていきます。俳句、川柳、落語などにもふぐが登場するものが多数残っており、人々がびくびくしながらふぐを食べていた様子が偲ばれます。

明治時代、時の総理によってふぐ解禁

明治時代になるとふぐは解禁されます。しかも初代内閣総理大臣、伊藤博文によってです。

伊藤博文が下関を訪れていたとき、料亭の春帆楼(しゅんぱんろう)に立ち寄ります。しかしそのときは海が大しけのために出す魚がありませんでした。

唯一あったのがふぐ。禁止されているとは言いつつ、下関では昔からふぐが食べられており、調理法も確立されていました。春帆楼の女将はお仕置き覚悟でふぐ料理を出します。しかし伊藤博文はそのふぐ料理をとても気に入り、山口県に限ってふぐを解禁したということです。

ここから昭和後期にかけ、徐々にふぐの取り扱いに関する条例が制定されはじめ、全国的にふぐは解禁されていきました。

毒がある部分

ふぐとの闘いの歴史の中で、日本人はふぐの体には毒がある部分とない部分がある、ということに気づきます。毒のある部分をよけて食べる、という知恵をつけるのです。

毒のない部分

まず、食べられる部分は身の部分です。写真はトラフグです。

毒がある部分

ふぐの毒がある部分は内臓です。

ふぐは種類によって毒のある部分が少しずつ異なっています。素人が調理するのは絶対にやめてください。

でも毒のある部分にも手を出しちゃう

というわけで調理法を発見した日本人でした。が、しかし。「毒のある部分もなんとかして食えるんじゃね?」とでも思ったのか、毒のある部分を調理するという恐ろしい道を歩み始めます。

料理名は「ふぐの子」といい、新潟県、石川県などの名産品です。毒のあるふぐの卵巣を粕漬けにした、見た目はたらこのようで、しょっぱくてご飯の進む味だそうです。

この「ふぐの子」、粕漬けにすることで毒が消えているらしいですが、''なぜ毒が消えるのかはっきりした理由はいまだ不明''です。そのせいか「世界的に珍しい」とか「奇跡の食品」という紹介をされることが多いようです。

なぜ食べようと思ったか、2つの考察

おいしいから、もしくはおいしく感じたから

ふぐといえば、ごちそうの代名詞。それほどまでにおいしいふぐだからこそ、毒があるのに無理して食べ続けられたのだと推察されます。

毒があるとは知らずに食べる…毒があった…「でも食べたい」…毒がある部位を発見…調理法確立…「毒がある部分も食べてみたい」…よくわかんないけど粕漬けにしたら毒が消えた!

という流れを考えてみると、ふぐがおいしいからというシンプルな理由しか考えられません。

また、実はそこまでおいしくはないのだけれども、「毒があるのに食えた!」「やった!生きてる!おいしい!」というふぐの味と生きている喜びがごっちゃになって「めちゃくちゃおいしい!」と感じてしまったのではないかとも考えられます。

禁止されると食べたくなる

「やっちゃだめ!」って言われると、不思議とやりたくなりますよね。鶴の恩返しのおじいさんとおばあさんに代表される、あの心理です。

ちなみにそういう心理を心理学では「カリギュラ効果」と言うそうです。ふぐを食べたらお家断絶という厳しい取締りがされていた長州藩が、今では「ふぐといえば下関」と言われるほどふぐで有名になったのも、この心理のせいだったのかもしれませんね。

ふぐを食べる理由を突き詰めると人間の性にいたる?

なぜふぐという毒があるものを食べようと思ったのでしょうか?結局はっきりとした答えは見つかりませんでした。しかしそこには、好奇心とか探究心とかいうような言葉では言い尽くせないような、人間の性とでも言うべき複雑な心理が隠されているように思えます。

ヒトはなぜふぐを食べるのか―それが解明されたとき、人間はまた一歩真理に近づいていく。そんな気がします。

(image by 写真AC)
(image by amanaimages)

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本記事は、2015年02月20日時点の情報です。記事内容の実施は、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。

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