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神秘の世界を解き明かそう!10m以上の大木が水を吸い上げられる4つの理由

2014年08月28日作成

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重力に逆らい、空に向かって伸びる巨大な幹。うねうねと地中深くに伸びている根っこ。木は自然の生命力を感じさせてくれます。

森の中は空気がひんやり湿り、根っこや土から水が染み出ていたりと、わたしたちにも欠かせない水は、木々と密接な繋がりがあるようです。

ところで、成長した背の高い木々はどのようにして水を吸い上げているのでしょうか。

今回は「10m以上の大木が水を吸い上げることができる謎」について迫ります。

目次

そもそも水は何m吸い上げられるの?

大木が10m以上水を吸い上げていることが、何故すごいことなのでしょうか。はじめに自然と液体の関係についてご説明します。

イメージ実験:ストローで水を吸い上げる

まず、水を吸い上げている幹をイメージするために、ストローを思い浮かべてみてください。ストローで水がなぜ吸えるのでしょうか。実は以下のような原理が働いているからなのです。

  • 1:ストローの内部の空気を吸うと、ストロー内の気圧が低くなる
  • 2:ストロー内の水は大気の圧力がかからなくなる
  • 3:水の表面には大気の気圧がかかっているため、気圧の低い方へ水が押し出される

つまり「気圧=大気が押す力・重さ」によって水が吸い上げられているというわけです。

大気の力では「1気圧で10m」が限界?

仮にストローの中を1番圧力の弱い真空状態にしてみても、空気の重さで持ち上げられるのは1気圧時で約10.3m。標高が高ければ気圧が弱まるため、10.3mよりも低い高さしか上がりません。

反対に、海抜0m以下では少し高く持ち上がります。しかしながら大気の力では10mほどが限界といえます。

大木は30mほどの高さになるものもあるので、気圧の力だけでは水を吸い上げるのは無理そうですね。

では、大木にはどのような力が働いているのでしょうか。

地球上の空気は、1気圧が約1013hPa。これは1平方メートルの板の上に1万kgほどの重りが乗っかっているのと同じような感覚です。普段意識していませんが、わたし達にもかかっている重さです。
参考記事:大気圧について

1:植物・木が水を吸い上げるしくみ 「根圧」

水圧で水を押し上げる根のはたらき

「根圧」という力があります。これは水を上に押し上げる力のことです。

根の細胞は吸収された水で水圧が高まっている状態です。そのため植物の水の通り道である「道管」内の水を押し上げようとする力が働きます。

根が水を吸収するしくみ

根が周りの土から水を吸収できるのは、「浸透圧」という働きを利用しているからです。

根の細胞内は糖分やナトリウム・カリウムなどの物質をあらかじめ多く取り組み、細胞液の中の濃度を高くしています。このため根の周りの水が細胞内に移動してきます。

浸透圧とは、濃さの違う溶液が混ざり合って同じ濃度になろうとする働きです。濃い溶液は薄い溶液へ、薄い溶液は濃い溶液へ移動します。

2:植物・木が水を吸い上げるしくみ 「毛細管現象(毛管現象)」

細い水の通り道「道管」

植物には、人間の身体にある血管のようなものが、根から葉の先まで通っています。この管は「道管」と呼ばれ、根から吸収された水の通り道になっています。

この道管は超極細。なんと直径1/2000~1/6mmという細さです。そして細い道管は束状になっていて、水で満たされた水柱となっています。

隙間を水が昇る自然のはたらき

細い管を水に差し込むと、水が上昇する「毛細管現象」が働きます。この現象は水の表面張力によって起こるもので、細い管状の空間や物体の隙間を液体が上昇したり、下降するものです。名前にあるように管が細いほど、水は高く昇ります。

この現象が植物や木々の細い道管内でも起こっているため、水が引き上げられています。

成長段階の初期にある小さい植物ならば、根圧と毛細管現象だけでも問題なく水を行き渡らせることができそうですね。

毛細管現象は、ぞうきんで水を拭いたりするときにも起きています。この場合、繊維の隙間が細いためにその間を水が昇り、雑巾に染みていきます。万年筆もこの現象を利用しています。

3:植物・木が水を吸い上げるしくみ 「蒸散流」

葉のはたらき

植物の葉は、気孔という穴から二酸化炭素を吸収して、酸素を出して光合成をしています。このとき、水が空気中に水蒸気として外に出て行きます。この働きを「蒸散」と言います。

大きな水の循環を生む「蒸散流」

蒸散によって葉の水分が少なくなることで、葉の細胞液の濃度が濃くなります。つまり、根→幹→枝→葉と上に向かうにつれ、濃い細胞液になっていきます。そして、濃度を下げようと浸透圧が働くため水が移動し、葉の隅々まで行き渡ります。

根から吸い上げられる水と、葉の気孔から出て行く水が、まるで一本の糸が引き抜かれるように繋がって流れてくのです。この流れを「蒸散流」と言い、大木が水を引き上げるための大きな原動力になっています。

生きるために必要な光合成と水がセットで手に入る「絶えない循環サイクル構造」になっているといえます。つくづく自然は素晴らしい仕組みだと感心してしまいますね。

4:植物・木が水を吸い上げるしくみ 「凝集力」

くっつき合う水の特徴

水のお互いにくっつき合おうとする性質のことを「凝集力」といいます。

このくっつき合おうとする性質は、水を構成しているイオンや分子の間で起こります。水にはプラスとマイナスの極があるため、お互いの分子の間で静電気のような引力が働きます。

引き上げパワー抜群な「凝集力」

この凝集力を活かすと何十mも水を引き上げることができます。無傷の道管なら、なんと450mまで持ち上げても水柱が切れないようです。

道管内は、ストローのように管の空気を真空にするのではなく、水で満たされた状態です。そのためこの力がうまく働き、道管内の水同士がくっついて上にどんどん昇っていきます。

1995年にアメリカの研究により、道管内の圧力が-5から-35気圧になっていると測定し、凝集力説は力を証明されたとされています。細い毛細管内では200気圧くらいの力が働くようです。

ただし、凝集力は空気が入ると働かなくなります。

生花などで、しおれていた部分を水の中で切る「水切り」をすると、植物が回復しますが、これは空気が入って水の流れが途切れた部分を失くすことで、凝集力が復活するために起こる現象です。

凝集力は、大木が水を引き上げる力に大きく影響していると推測できます。

深まる自然の神秘的な世界

調べてみると背の高い木々が成長し生きるために必要な機能が、「自然界の力」と「植物の身体のつくり」によってうまく整えられているのがわかりました。

様々な働きの相乗効果で成り立つ水を吸い上げる力は、まだ完全には解明されてはいないようです。

知れば知るほど神秘的なメカニズムをもった大木の謎。これからの科学に期待しましょう。

(image by amanaimages)

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本記事は、2014年08月28日時点の情報です。記事内容の実施は、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。

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